2013年2月28日木曜日

年に一度のコンフェランス



Diaryを書くのをさぼっている間に年末年始の一時帰国もあっという間に終わり、年も超し、もう3月に入ろうとしています・・・。

久しぶりの日本での時間は、会いたい人みんなに会うことはできなかったけど、新しい国アメリカで、新しいバレエ団で右も左もわからないまま走ってきた私にとって、本当に癒された良い時間でした。
私には帰る場所があるから、動ける時は限られているし、できなくなるまでは後悔ないように必死に頑張ろう!!ってものすごく前向きなパワーとリフレッシュした気持ちでいっぱいでここフェニックスに戻ってきたのは1月6日のことでした。

2013年仕事始め初日から、私の前向きでやる気いっぱいな気持ちをポッキリと降り「私、バレエ辞めようかな・・」とまでも思わせられる出来事が起こり続けるなんて、夢にも思わず・・



こっちに戻ってきて初めのリハーサルは、ディレクターとのロミオとジュリエットのリハーサルでした。
私は去年からジュリエット役に配役されていて、2月のロミオとジュリエットの公演までにはリハーサル期間が足りないからと、12月のくるみ割り人形のリハーサルと同時進行で練習していました。
12月の段階で代替の振付は頭に入り、2週間の年末の休みの後、1月からは本格的にロミオとジュリエット一色でリハーサルを開始していくという予定でした。
その1月の初日のリハーサルでのこと、1時間半のリハーサルで、最後にディレクターが私に言った言葉は「あなたはジュリエットからほど遠い。そんなんで私があなたにジュリエットを任せたいと思えると思うか?答えはNOだ。」です。そして、リハーサルの途中でスタジオから出ていきました。
そして、その日の終わりにオフィスに呼ばれ、「もうこの役はあなたには任せられない。他の人にやってもらう。あなたは自分がどれだけ大きなチャンスをもらったのかもわかっていない。とても残念だ」と言われ役を下されてしまいました。

そこまで怒られた原因はわかっています。12月の21回連続公演でヘトヘトになり、2週間オフを待ち望んでいた私は、休暇に入り、一切ジュリエット役のことを考えず、イメージトレーニングさえしませんでした。
久々の日本、いろんな人との再会を、バレエのことを忘れて楽しんでいました。
「アメリカに来てから半年間、頑張ってきた。日本で2週間休んで、また1月から徐々にエンジンかけていこう」と思っていました。
そんなお休みモードの私を、ディレクターに見抜かれたんだと思います。
ダンサーは休んだらいけないの?と思われるかもしれません。。でも全くそうじゃなくて、オンとオフの切り替えがとても大切です。私はそれが上手くできていませんでした。

「君はどれだけ大きなチャンスをもらったのか、全くわかっていない」
この言葉は忘れることができません。私に少しでも、この役をもらったことに対しての責任感と自分はまだまだ実力がない。という謙虚さがあれば、この休みの期間の間に「自分はどんなジュリエット役を造りたいのか?今の自分はどこまでこの役を理解しているだろう?と自分に問いかけていていただろうし、このままではやばい・・と気づけてていたと思います。
主役をもらうということはそれだけ重みのあることだし、やりがいのあることだったのに、私は
ちょっとした気の緩みと自分に対するおごりで、一瞬にしてチャンスを逃してしまいました。


結局私は、群舞をやるように言われ、次の日から別のスタジオでバレエ団のミストレスが担当する群舞のリハーサルに参加するようになりました。

ディレクターとリハーサルできるのは主役の特権でそれがどれだけ自分を伸ばしてくれるものなのか、その有難さに改めて気づかされました。
いくら悔やんでも、いくら望んでも一度下された決断はそう簡単には変わりません。

私がやるはずだったはずの役を、今日はもう別の子が隣のスタジオでディレクターに認めてもらおうと必死に頑張っている。私はスタジオの外から、それをただ見ていることしかできませんでした。
公演当日、、その子は初めての主役にも関わらず、舞台を成功させ与えられたチャンスをものにしました。
ロミオとジュリエットの公演期間が終わった後、3月末にある公演のキャストでも私は群舞のままでした。一度失った信頼はそう簡単には戻りません。バレエ団研修生の女の子たちの後ろで、同じ役を覚えるのは、「自分はこんなことをするためにここにいるんじゃない。過去にいろんなところで踊ってきた、ソロだって主役だってしてきたのに、なんで今更??」とみじめで仕方ありません。
バレエアリゾナにはランク制度がないので、昨日主役をしていたダンサーが次の公演では村人A役というのが起こり得るのです。




こんなことが起こり、こんな気持ちになるのは、正月の初詣のお御籤で小吉が出たにもかかわらず、記念にとっておくと言って、木の枝にお御籤を巻きつけてこなかったからなのか?といろいろ普段は信じてないようなことを考えたり・・。

でも、そうじゃなくて、ただ私が甘かっただけ。ただ自分が自分のことをよく見てなかっただけ。この結果は自分が招いた結果。誰かのせいにしたいところだけれど誰のせいでもない。


うまくいってるときというのは自分が上手くいってることにさえも気づかない。自分は周りからみてどんなふうに見えているのか?このままでいいのか?と問いかけすらしなくなる。

私の場合は、ディレクターがどんなジュリエットを求めているのか?大した実力もない私が入団一年目で立て続けに主役をもらって周囲はどんなふうに見ているのか?など、自分の都合のいいようにしか考えていませんでした。

自分は恵まれている、こんなに大きなチャンスをもらっている。と、浮かれずにその瞬間瞬間を大切に出来れば、まずジュリエットという役の重みに気づけただろうし、もっと慎重になれたと思います。本当に、本当に大失敗。。。

私自身、中身もバレエの実績や実力も、何も昨日今日で変わっていないのに、人の一言でこんなに自信がなくなり最低な気持ちになるなんて、不思議です。
不思議・・呑気にと言ってる場合では全くないのだけれど、こんなことになるまでどうすることもできなかった自分が恥ずかしい・・・

そして、今週は年に一度、バレエ団で雇用されているダンサーが来シーズンの契約をどうするか、ディレクターと1対1で話し合うというコンフェランスがスケジュールされている週です。
バレエ団での立ち位置が天から地に落ちた私にとって、最悪の場合「クビ」を覚悟しないといけないでしょう・・。
本当に、本当にバレエで生きていくことの厳しさをあらためて、身を以て教えられた数か月でした。
早くこの悪い運気を断ち切れるようにするためには、気持ちを明るく持ってできることを一生懸命するしかない。。。。「私なんてどうせ・・」と暗くなっていても、だれも助けてはくれないし、周りのみんなも迷惑します。

この失敗を取り返せるように頑張っていきます・・・!!!