2013年6月26日水曜日

Freedのトウシューズ

日本に帰ってきて早くも2週間が経ちました。

毎年感じるけどやっぱり日本が一番ですね。

さて、私には帰国してから 挑戦していることが一つあります。それは、GaynorMindenのトウシューズからFreedのトウシューズにシフトするということです。
挑戦と書くとめちゃくちゃ大袈裟ですが、ある程度の期間ゲイナーで踊っているダンサーはその他のシューズに履き替えるのはとても大変なのです。
それは、ゲイナーのトウシューズとその他多くのトウシューズでは、造られている素材が違い、またシューズのコンセプトも違うからです。

まずゲイナーは今までのトウシューズにはなかった特別な素材を使っているのでインソール(靴底?)の部分やボックス(つま先で立った時にサポートする部分)の硬さが新品の状態と履き潰れる前とほぼ変わりません。そのほかのトウシューズは履けば履くほどインソールやボックスが柔らかくなっていき、特に湿気のある梅雨時期は本当に寿命が短い。

どうやってそのシューズが潰れたかを判断するのは、私の場合シューズの先端に穴が開いたときでした(笑)穴が開くとピンクのサテン生地から白いプラスチックのような素材が見えてきます。
 そこまで履くには舞台やスタジオの床のコンディションにもよりますが、かなりの期間を要します。

もう一つ、ゲイナーで特徴的なのは、インソール部分が弾力性のあるバネのような素材でつくられていて、ドゥミからポアントに移行するときにそのバネがサポートしてくれるのでかなり乗りやすいということです。また、ポアントで立った時の安定感も明らかにその他のトウシューズとは違い、ポアントでいつまでも立っていられるような安定感と心地よさがあります。

履くことで、バレエの理想のつま先のライン、本来の自分の能力以上のパフォーマンスを引き出してくる。というのが明らかに他のトウシューズと違ったゲイナーミンデンの性質だと思います。

私は数年前初めてゲイナーを履いたとき、その異質さ と履き心地の良さに驚きました。でも、今までのシューズとあまりにも性質が違うので、実際に履いて踊れるようになるにはかなりの時間が必要でした。
でもこの安定感に慣れた今では、他のシューズに履き替えるなんて、考えられません。
 そして何よりもトウシューズが潰れることがない。というのが魅力です、大事な舞台やコンクールのために、一番踊りやすい状態に履きつぶしたトウシューズを練習では使わず大事にとっておく、ということをしなくていいからです。

でも、そのサポート力があまりにも他のシューズと違い優秀すぎるため、まだトウシューズで踊る ことが出来るほど筋力が強化されていない子供や経験年数の浅い方にはあまりお勧めできないような気がします。

なぜなら、ゲイナーは十分な筋力やコントロール能力がなくてもポアントで立たせてくれるからです。

インソールのバネのサポートで立てることは立てるけど、ダンサー自身の足に必要な筋力が備わっていないと、ポアント→ドゥミ→フラット とそれぞれの意向が不自然(あまりにもバネに頼り切っていて自身で上下をコントロールできていないので、見ていて踊りが乱暴に見えてしまう)になってしまうという心配があります。
そして一度このような癖がついてしまうと、その癖を抜くにはかなりの努力が必要です。というかゲイナー以外を履いたことがなければこの意味がわからないかもしれません。
他のトウシューズでは、自分の力でポアント→ドゥミをしないといけないのでそういった癖がつくことはないと思います。

今回私が履こうと頑張っているトウシューズはFreed,ロンドン留学時代は愛用していたシューズです。トウシューズの中では一番オーソドックス、歴史のあるトウシューズで、プロのダンサーの中でも愛用者は多いようです。
実際に私が今所属するバレエ団のダンサーも全員Freedです。ディレクターはフリード大好きで、今回私が大好きなゲイナーからフリードに履き替えないといけない理由もそこにあります。

ゲイナーが、履くことで、バレエの理想のつま先のライン、本来の自分の能力以上のパフォーマンスを引き出してくる。のなら、フリードは、その理想のラインやパフォーマンスを訓練に訓練を重ねた自分自身の筋力や経験によって自分で造っていく。って感じでしょうか・・。
本当にフリードのシューズはきちんと訓練できているダンサーが履くと、何も履いていないかのように自然に踊っているように見える素晴らしいシューズです。

でも、その理想的なラインを造っていくためには、ただ買ってきたシューズをそのまま履いてたくさん練習すればよいというものではありません。(私は学生のころはそんなこと全く知りませんでした)

プロのダンサーは自分の足の形に合わせていろいろと試行錯誤して、より踊りやすいように、よりきれいなラインに見えるように、シューズを改良しています。

私もフリードに変えてからバレエ団の女の子たちにいろいろと教えてもらい、新品のシューズに手を加えるようにしています。個人差があるので、参考にはならないかもしれなけど、これから、いくつか紹介してみようと思います。










2013年6月6日木曜日

シーズンエンド&帰国



長かった新しいバレエ団での1年、ようやく6月1日で終わることができました。

本当にいろいろとあった1年でした。特に今年に入ってからは、いくら頑張っても団内では透明人間状態だったので、シーズン途中で辞めるとか、2年目は絶対に契約更新はしない。と自分に言い聞かせてやっとのことで毎朝通勤していた時期もありました。

でも1シーズン終えてみて、一言いうとしたら・・・辞めなくてよかった。
もちろん、一度失ったものを取り戻すのはそう簡単ではないので、2年目からも厳しいポジションからのスタートだけど、アメリカに最初に足を踏み入れた時よりも、この国を最後に出るときのほうが精神的に強くなっていたい。ズタボロにされて悔しい思いをし、自信喪失してこの国を後にはしたくありません。

なんでこんなに理不尽な扱いなの?!といい年して人前で泣いたり、皮肉を言われ大恥をかいたり、いろいろあったけど、あの一番辛いときに逃げていたら、今その時のことを思い返して、痛くも痒くもない。と思えなかった。過ぎてしまえば全部思い出でしかありません。でもその時に逃げるとトラウマになり、次同じようなことが起こっても免疫がないのでまた辛くなる。と思います。
そう思えるようになっただけでも進歩だと思って、バレエ団には感謝して、このシーズンを終えたいと思います!!
あとは日本での夏休み。とても楽しみです♪





               最後の野外公演にテレビの取材が入りました。