2013年11月14日木曜日

自主公演






 






 




 


10月は、ダンサーたちが公演の演目やリハーサルスケジュール、振付、進行方法、レセプションパーティーの準備などすべて自分たちでする自主公演を行いました。

ダンサーという仕事はとても貴重で素晴らしいけど舞台でベストの状態で踊っていられる時間は一生のうちほんの少しです。その少しの時間のためにみんな陰でものすごい努力や体のケアをしますが、もちろん仕事だから、全てディレクターの意向に従わないといけないので全てのダンサーが演じたい役を踊れるわけではありません。
例えば、一度ディレクターに「このダンサーは脚が強いからジャンプが得意だけど、腕の動きが硬いから、ゆっくりなテンポの曲は合わない」と判断されると、その考えを覆すにはかなりの時間と努力と運が必要です。

カンパニーのダンサー数が少ないとその分めぐってくるチャンスや、自分を見てもらえる機会も増えるけど、大きいバレエ団になればなるほど、頑張っても少しでも気を抜けば、簡単に数多くの才能の中に埋もれてしまいます。
毎回プロダクションのキャスト発表はとてもデリケートな問題で、いつも誰が悲しんだり、喜んだり、不満だったり・・・バレエという自分の人生をかけてることで自分への評価が配役という形で現れるのですから、配役に一喜一憂するのは無理もないことだと思います。
競争の激しい、短い世界。でもそれ以上に魅力があるからみんな続けているわけですが・・。

そんなダンサーが最も恐れていること、それは怪我です。 身体に痛みがあると、思ったように踊れない、求められていることができない、でも無理をすると悪化する。っていう感じで悪循環に陥れば短いダンサーライフを自分のベストを尽くせないままダンサーとしてのピークが過ぎてしまうことだってあります。そして、もう一つ、困るのは(金銭的な)生活です、長い間踊れなければ解雇という文字も頭に浮かんでくる世界です。特にアメリカはバレエでもビジネスという概念が濃いので、ゆっくりベストな状態に戻るまで気長に待ってくれるのは稀なこと、その間に新しくディレクターの好みのダンサーがオーディションに来れば迷わずそっちを選ぶという酷なことだって起こり得ます。

そんな、不安定な私たちのダンサーライフを少しでも良くするためにカンパニーのダンサーが集まり、企画したものが今回の公演でした。怪我したダンサーや年齢のためキャリアチェンジを考えているダンサーなどに金銭的な心配なく治療や、次の就職先を見つけるために専念してもらうために、募金を募りました。 チケットの売り上げもすべて募金されます。

普段、自分の希望の役を踊れないので、この公演では自分たちの踊りたいものをリクエストしてプログラムを作りました。振付に興味があるダンサーも振付に初挑戦したり、仕事の一環ということを忘れてみんな楽しんでいました。 たまにはこんな機会もあっていいですね・・♪

カンパニー歴史上はじめての試みでしたが、チケットもほぼ完売、みんなの頑張りと、周りのスタッフのサポート、そしてバレエアリゾナのダンサーを応援したいとチケットを買ってくださったお客さんに感謝です。